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ホームステイ
じんさんが高校生の時にアメリカに留学した時のお話です♪




〜HSの話:その1

 初めての飛行機に興奮していた高校生のおいら達。
しかし10数時間のフライトに疲れ、殆どの仲間は寝てしまっていた。
おいらと5人の友人はだるだるでしたが起きていました。

その1人がゲームをしようと言ってきました。
ゲームというのは単純な罰ゲームで、じゃんけんで負けた奴がみんなの言う事を
聞くというものです。
疲れてはいるんですが、何かしていたいんですね。
おいらが負けました。
最初の指示は5人がそれぞれ飲み物を頼んで、それをMIXしたのを飲むという次元の
低いものでした。
コーヒー、コーラ、オレンジ、緑茶、その他。
全部まぜると見た目はコーヒー、臭いもコーヒーそのものでした。
これなら大丈夫だろうと、一気に飲み干しました。
「まずっ!」と声に出したかどうかは覚えてませんが、ひじょうにまずかったと
いう事だけは確かです。口に入った瞬間はコーヒーの味が広がりながら、炭酸が
舌を刺激しつつ、喉の奥へ入る瞬間にオレンジの味という何とも不思議なものでした。
ちなみのお腹は大丈夫でした。

 それ以降も低次元なゲームはしばらく続き、スチュワーデスを呼んで、
「暑いから窓あけてくれ!」、「グリーン車に移りたいんですけど…」、
「お風呂は何時からですか?」など言ったり言わされたり…。
ま、怒られずに済みましたが、親切丁寧に対応してくれたスチュワーデスさんには
申し訳ないことしたなー。



〜HSの話その2・何もかもでかい!〜

 3週間お世話になるファミリーの車に乗ると、おとん、おかん、息子が
マシンガンのように英語を浴びせてきた。
かろうじて幾つかの単語が分かるくらいだった。
おいらは片言の英語を並べながら愛想笑いで言葉を返していました。
頬の筋肉が引きつり始めた頃、ようやく家に到着。
荷物を解き、着替えて、家の説明を受ける。

おかん「はーい、とーし!」←「ひとし」と言えないらしい。
おいら「はーい!ジュディー」←教科書に出てくるような名前でした。
おかん「ここはバスルームよ〜ん。
    体をあらつたり、しゃがんでひねりを入れたりする所でーす!」
おいら「おぅけぇーい!」←見りゃわかるだよ。にしてもでかい。

おかん「はーい、とーし!」←ひとしだっちゅーねん!
おいら「いえーす?」
おかん「ここがあなたの部屋でーす!」←で、でかっ! 広っ!
おいら「おぅ、さんきゅー!」

 とまぁ、30分ほど案内してもらって部屋でくつろいでいました。
さすがに疲れた。
機内であんなにはしゃぐんじゃなかった。…眠い。
寝ていいものだろうか? 構わない、寝てしまえ! と思った瞬間、
おかんが買い物に行くから来いという。
今日2度目の愛想笑いを振りまきながら、ジュディーについて行った。すると…



〜HSの話その3

 おいらはかあかちゃんと息子のブライアンとともに、ガレージで今にも朽ち果てそうな…
いや、いい味の出たステーションワゴンに乗り、近所のスーパーへ買出しに行きました。
家の前の通りは日本とは比べ物にならないくらい広かった。
日本車だったら、5〜6台くらいは並べて置けるくらい幅がある。
ただ、これだけ広くて視界もいいのに、キチンと一時停止をし、左右を確認するといった
道交法を守るかあちゃんには、頭が下がる。
おいらも日本に帰ったら、キチンと守ろうと思った。
当時高校生だったおいらはまだ原チャリに乗っていて、停止線の一つや二つ守らなくても、 特に注意される事もなかった。
たまーに、暇な自転車おまわりさんと遭遇すると「線越えるなぁ〜」と言われていた だけなのである。

 車は住宅地を抜けると大きな通りへと出た。
ホームステイしていたぺタルマという街はかなり田舎ということらしいが、 片側3車線(4車線だったかな? もしかしたら広〜い2車線だったかも)の通りがある街の、どこが田舎なのかと思った。
走っている車の台数は多いが、サンフランシスコのような渋滞はなかった。
そしてみんなキチンと制限速度を守っている。急いでいるのは日本人だけなのだろう。
それだけのことなのに、アメリカはいい!と思ってしまう。

 しばらく行き交う車やバイクなんかを見ていると、ある事に気付いた。
バイクの多くが750以上である。
日本で見るとでかい750が、ここでは原チャリのように小さく見えるのである。
それだけここが広いのか、乗っているアメリカ人がでかいのか…。
また、多くのライダーが上半身裸で「たとぅー」を入れていた。

じん「かあちゃん、なんで奴ら裸なの?」
かあ「は〜い、とーし!それは夏だからに決まってるでしょ〜!」
じん「なるほろ。んじゃ、あの『たとぅー』は何なの?」
かあ「あれはファッション、服みたいなものよ〜」
じん「へぇ…(普通に服着てた方が安全だと思うんだけど…)」

 家を出てから30分以上たっているが、まだスーパーに着かない。
どこのスーパーへ向かっているのだろう。
ブライアンはおいらの横で、初期型ウォークマンでノリノリだし、かあちゃんは「3時」 の角度でハンドルを握ったまま、雑音だらけのラジオの曲に、リズムをとっている。
後で聞いたら、かあちゃんの好きなライオネルリッチーだったそうだ。

 おいらは窓をくるくると開けて、窓外に広がる荒野のような平原を見ていた。
すぐ先には、小さな山々が何処までも連なっていた。何と言う山なのかは忘れた。
どことなくa-haのスカウンドレルデイズのジャケットに似ていた。
そんなおいらにかあちゃんが気付いて、何やら説明を始めた。
一生懸命聞いていたが、自分のヒヤリング力のなさと、風切音で何を喋ってくれていた
のか分からなかった。
適当に相槌を打ちながら、景色を眺め、たまにかあちゃんの方を振り向いたりしていた。
何度目かに母ちゃんの方を見ると、前方の信号が赤に変わったのが目に入った。
同時に前を走っていた車のブレーキランプがついた。
かあちゃんはまだ笑顔でおいらに説明している。とっさに言葉が出た。

じん「わっちゃ、ジュディー!」
かあ「は〜ん?」

 それが正しい英語で、通じたかどうかは知らないが、次の瞬間、金属同士がぶつかり
合う音と衝撃が3人を襲った。
おいらはとブライアンは後部座席にいたため、全席の背もたれに助けられたが、かあちゃんは…
大丈夫だった。
シートベルトもしてなかったのに。事故ったのだ。
おいらはただ黙って座っていた。
隣のブライアンは奇声を上げて腕を振り回していた。事故ったのに。
かあちゃんは一瞬間をおいてから、振り返り大丈夫かどうかを聞いてきた。
それも笑顔で。事故ったのに。

かあちゃんは窓を開けて身を乗り出すようにして、前の車に何やら呼びかけている。
前の運転手も同じように身を乗り出して振り返り、何やら言っている。
二言三言会話を交わすと、何事もなかったかのようにかあちゃんはハンドルを握った。
しかし今度は「左片手12時」の角度である。右手はラジオのスイッチに伸びていた。
前の運転手は信号が青になると、普通に車を走らせた。

かあちゃんも先程より多めに車間距離を開けて発進した。
事故ったんじゃ…?その後事故のことを聞いてみると、こんなことは日常茶飯事で
事故とは言わないのだそうだ。恐るべしアメリカ!
ここまで心が広い?とは。う〜ん、でかいのは街だけではなかったようだ。

 それから10分ほどで、ショッピングモールのようにでかいスーパーが現れた。
おいらはまたまた驚いた。その広大さに。手前にある駐車場の広い事!
東京ディズニーランドの駐車場と同じか、それ以上だったと記憶している。
止まっている車はまばらだったが、相当数あるに違いない。
かあちゃんは適当な所に車を止めると、無造作に放り出されているとしか思えない、
キャスター付きのおおきな籠?を手にスーパーへと入って行った。


― つづく―
   


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